尾州と木曽桧、きそひのき --- 2003年6月13日



 以下の話は昔父から伝え聞いた事で細かい事は異なる部分があるかもしれませんが、大筋で間違いは無いと思います。

 びしゅう桧のびしゅうは、尾州という字を書きます。なぜ、木曽(長野県:信州)なのに尾州?これは江戸時代、尾張藩の直轄地で徳川家の御用木から来ています。色、ツヤ、香りと、日本の中で最高の物ということで、尾張藩徳川家が木曽桧を管理していた事によります。
 さて、木曽といいましても範囲が広いし自然の地形なので、人間が勝手に線引きするのも人の都合によるところが大きいのですが、何処からどこまでが木曽桧かと言うと、本来は木曽谷に面してる所に生えている木を指していました。要するに、木曽福島(きそふくしま)、王滝(おおたき)、上松(あげまつ)、薮原(やぶはら)、野尻(のじり)、南木曽(なぎそ)、付知(つけち)あたりを言います。
 また、木曽桧は天然木を指しますが、江戸時代から尾張藩が、きちんと管理した結果、植林材でも、300年を超える物は天然木として、扱われています。

 ひらがなで『きそひのき』のブランド名で、出回っているのは天然木ではなく、人工林の50年生以上で100年未満の木です。これも木曽地区で植林された物です。

 いつから『ビシュウ』と呼ばれなくなったかはさだかではありませんが、明治時代に尾張藩から明治政府に移った時に徳川家から皇室の所有物に変わった頃の様です。皇室の所有物というのも、所轄官庁が林野庁ではなく帝室林野局というところから想像できます。
 ただ、今でも、木曽桧を扱っているプロは『木曽桧』と呼ばずに『ビシュウ』と呼んでいます。

 余談ですが、木曽桧の天然木の事を官材「かんざい」(国有林材だから)植林材の事を民材「みんざい」と呼んでいます。これが秋田の杉だと、官木「かんぼく」、民木「みんぼく」と呼び方が変わります。

新木場 吉田商店


のうがき--NEXT ©
のうがき
材木は曲がる反るクサル。生き物だったから。
コピーペーストできない。同じ物がないから。
ダカラ ヲモシロイ。

のうがき--BACK 
のうがき。。。もくじ 
HOME 
のうがき--NEXT