材木の名前 --- 2005年2月6日



 先日御贔屓にして下さるお客さんから「メクワって木、しってる?漢字で書くと女桑。」と、問い合わせがありました。
自分:「・・・知らない」。「桑」なら知ってるんですけど、「メクワ?」。

 インターネットで検索をかけてみました。
材木屋関係のサイトでこれを解説してあるところは無く、木材図鑑のサイトで見つけました。
検索結果:「メグワ」=雌桑、女桑。着色して桑材の代用として使われる事があり、その場合本桑と区別される。

 これは黄肌「キハダ」の解説文の中の一節でした。つまり、本当は「キハダ」に色を付け桑に見せ掛けてるって事。
 なぁんだ、「きはだ」なら知ってるのに。。。「メグワ」なんて言わないで初めから「きはだ」って言えばいいのに。ちゃんと「きはだ」は「黄肌」で通用してるのに。材木屋でさえこの状態。一般の方なら分からなくて当たり前です。

 似た様な木は沢山あります。着色すると全く別な木に変わる物もあります。例えば「栓」。茶色く塗れば「けやき」にそっくりになります。まぁ、これなんかは良心的?なのかもしれません。「女ケヤキ」なんて言いませんから。他にもいろいろ在ります。
「新かや」は、よく碁盤に見られますが、「かや」なんかじゃありません。スプルースです。
確かにお茶の道具や炉ぶちに使われる「桑」や高級碁盤や将棋盤の「かや」。これを「きはだ」や「スプルース」って言うより名前のウケはいいですね。

 地域によって名前の変わる物もあります。
例えば「ヒバ」。
本来は「あすなろ」です。青森県など東北地方では「ひば」と呼び、石川県の方では「あて」、「くさまき」と呼びます。日本三大美林で青森県のヒバが有名なので、「あすなろ」と云うより、「ヒバ」と云う呼び方の方が認知されています。
これらは、昔からそこに自生していた木をその地方に住んでいる方々が呼んだ物なので、全く問題ないのですが、あとから勝手に付けた名前は混乱します。
たとえば、アラスカ桧=スプルース。ちなみに米桧はちゃんとアメリカ産の桧です。

材木屋で米材というのは、アメリカ合衆国産と言うのでは無く北米大陸産の意味です。だから、アメリカも、カナダも、アラスカもみんな「米」の字がつきます。その意味では米栂なんかは殆どがアメリカ産、カナダ産ですが、アラスカ材も含めて米栂と呼んでいます。(アラスカ産のほうが、スプルースも栂も物がいいんですが、出材量が少ないです。)

おまけ。

「古代桧ってなんですか?」って質問も昔はよくありました。あれは会社の名前です。そんな木はありません。強いて言うならば、台湾産の紅桧を使っていた様です。それも1980年代以降は大径木の古木は少なくなり、現地からの出材も保護対象として伐られていないはずです。とか言っても、どの世の中にも例外(文化財用など)はつきものですが。
 ちなみに「神代」って言うのはあります。「神代杉」とか「神代ケヤキ」とか。それは大昔、地震などによって埋もれてしまった木の事をさします。長い年月を地中で過ごし、いい風合いを持った木です。銘木ですね。(ちなみに「神代ヒノキ」って言うのは聞いた事がありませんが。)

新木場 吉田商店


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材木は曲がる反るクサル。生き物だったから。
コピーペーストできない。同じ物がないから。
ダカラ ヲモシロイ。

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