干割れと背割り --- 2006年6月14日



なぜ板は割れるのでしょうか?

木は丸太を伐った時点から乾燥が始まります。
割れるのは、木の表面と内部の乾燥の速度の違いから割れが起こります。

右の図は丸太の断面ですが、辺材部はいわゆる「白太(しらた)」と呼ばれている部分で、色は白く樹木に必要な水を吸い上げ水をたっぷり含んでおり、芯材部は「赤身(あかみ)」と呼ばれ、辺材部より色が濃く、成長の止まっている部分で油が乗っている所です。
 当然、乾燥するにつれ水分が抜けていきますが、木に含まれる水分は圧倒的に白太の部分が多く、よって収縮の度合いは赤身より白太の方が縮みます。この収縮率の違い(赤身より白太の方が大きく縮む事)によって、白太の方が割れるようになります。

下左の画像は木口から見た干割れの画像です。
外周部の方が芯より収縮が大きい為、干割れは芯から周囲の方向へ向かって放射状に入ります。この為、干割れがどんなに深くても芯で止まる為、干割れが貫通して柱や梁がバラバラになる事はありません。

下中の画像は柱の干割れです。
干割れの特徴は板目の部分に入ります。
面の杢の部分に入りやすいのは上で説明した通りで、芯から外周部に向かって割れが入る為、柾目方向には割れが入りづらいです。

新木場 吉田商店


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材木は曲がる反るクサル。生き物だったから。
コピーペーストできない。同じ物がないから。
ダカラ ヲモシロイ。
maruta

 上記理由により柾目は割れづらいのですが、もちろん真夏の炎天下に放置すれば割れてきます。(これも日に当たる部分と裏側の日に当たらない部分の収縮の度合いが違う為です。)

 そこで化粧柱の場合は見附の部分が割れると見てくれが悪いので、割れないように背割りを入れます。下の画像は製材機でわざと背割りを入れた柱です。

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 日本建築の真壁に使う場合、裏側(背割りを入れた側)は壁の中に入ってしまうので、背割りは見えなくなります。
干割れが入る前にわざと背割りを入れる事により、木の内側からも乾燥を促し、なるべく均等に乾燥させる為に他の面に割れが入るのを防ぎます。
 背割りを入れる意味としては、他の面に割れを入れさせない為の保護と考えて良いでしょう。前述しましたが、割れは芯で止まる為、構造上問題はありません。
 通常背割りを入れる物は化粧に使われる材料です。ですので、105mm角や120mm角の物でも、3mの物は柱用で背割りをいれますが、4mの物は土台に使われる為、背割りは必要ありません。(化粧で見せる場合は背割りを入れる場合があります)また、3mの柱用の物でも、大壁(壁の内側に柱が入る)の場合は柱が見えなくなるので、背割りは必要なくなります。

干割れ対策として背割りを入れますが、他の場合でも背割りを入れる事があります。

板目の板は木表(丸太の外周側)の方が木裏(丸太の芯側)より収縮率が大きい事は前述しましたが、この収縮により板に反りが生じます。

sori
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 通常芯を外した板は、割れる事が少ない為背割りを入れません。幅の狭い板はそれ程上図の様に反りませんが、幅が広くなればなる程板は反りやすくなります。テーブルの様に数10cmの板になると反りが大きくなって来ます。その為、反りを防ぐ為、背割りや溝を付いて反り止めを入れる事があります。床板(縁甲:エンコ)や壁板(羽目板:はめいた)等にもその様な加工を施したりします。下図参照。反り止めの場合は割れとは無関係なので、板の芯に背割りを入れる必要はありません。

honzane

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