きもとたけうら --- 2006年7月26日



きもとたけうら


『木元竹裏』人の名前ではありません。
『キモトタケウラ~』何かの呪文でもありません。
『木モト竹ウラ』製材の仕方をあらわした言葉です。


丸太を製材する時は元から。
要するに木の根っこの方からノコを入れる。
竹を割る時は竹のウラから。
竹の場合はウラ(木材用語:丸太の先端(さっきぽ))の方から割る。

なんて言うかコトワザみたいな言葉だけど、実際、間違いではありません。

 ウチは木を注文の寸法に製材して販売するのが仕事なので、竹の事は分かりませんが、経験からすると確かに丸太は木の元(根っこ)の方からノコを通すと、ノコが逃げず真直ぐに挽けます。よくよく考えてみれば、木の繊維の方向に対し、元から挽くと順方向で裏から挽くと逆目になりますね。木は上に向かって伸びており、年輪とともに横にも太っていきますから。(竹はどうなんだ?って言うツッコミは無しです。竹の世界はわかりません。竹屋さんに聞いてみて下さい。)

 普通に考えれば、のこぎりで真直ぐに製材するのは当たり前の事で、至極簡単な事の様に思われがちですが、案外思い通りに行かないのが『木』です。『ヒト』と同じで素直なヤツもいれば、ヘソ曲がりもあります。一見、太く立派な丸太で、大人しそうな木でも節の所でノコが逃げる(曲がる)。節などの欠点が無く柔らかそうに見えて、実は目が交錯していてノコが泳ぐ(曲がる)。

 曲がらない様に製材する為、樹種によってノコの目立てを変えたり、ノコ歯のアサリを変えたりします。目立て屋さんの技術ですね。また製材するスピードを変えてみたり。
 ウチはもともと木曽桧の役物の製材から始まった店なので針葉樹を主に挽いていますが、桧なんかは木が大人しいせいもあり、『ウラ』から製材しょうが『元』から製材しようがノコはスイスイ入っていきます。だから丸太を製材する時は芯の出し易さから『ウラ』の方から製材しています。スプルースなんかだとノコの通りの悪い木があるので、ノコが逃げ出すと丸太を180度回して『ウラ』と『元』を入れ替え反対方向から製材してみたり。
真直ぐに製材するのって案外努力が必要なんです。

新木場 吉田商店


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材木は曲がる反るクサル。生き物だったから。
コピーペーストできない。同じ物がないから。
ダカラ ヲモシロイ。

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