道具 --- 2007年1月6日



一富士、二鷹、三茄子





 お正月2日に、東京の浜離宮で鷹匠による放鷹(ほうよう)の実演があるというので縁起物だし見に行って来ました。
 精悍な顔。キリッとしたくちばし。強そうな爪。よく躾られているのか大人しいけれど腕にとまった姿は堂々としていました。近くで見るのは初めて。カッコイイ。1時間程の実演の中、鷹匠の言う事を良く聞き、飛ぶ姿はとても美しく、また獲物を追う姿に鋭さを感じました。


★★★


 放鷹を見物した後、庭園内を散歩。
天気も良く風も穏やかでのんびり歩き回り、出入口付近で東京の地酒の接待を頂き気分も良くなりました。そこで見つけたのが『おろし金』。庭園内の広場で東京の伝統工芸品の出店が数軒あり、「やすり」「桐箪笥」「銅製品」等々いろいろあった中の一つのお店。

新木場 吉田商店


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のうがき
材木は曲がる反るクサル。生き物だったから。
コピーペーストできない。同じ物がないから。
ダカラ ヲモシロイ。
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 当店を御贔屓にして下さる大工さんからよく本ワサビを頂くのですが、これが普通の本ワサビとぜんぜん違う。静岡県有東木(うとうぎ)産や伊豆の筏場(いかだば)産の「まずま」と言う種類のわさび。
 「わさび」って単なる薬味だろ?って違うんです。うまいんです。酒飲みには・・・。そりゃぁ刺身があれば言う事は無いのですがワサビだけで酒の肴になるなんて。
とにかく辛味が強く、おろしたワサビにたまり醤油をちょっと垂らして箸の先に少し。熱燗でよし♪焼酎のお湯割りでもよし♪♪
 葉は手でちぎってこれもお醤油。すこしばかりえぐ味はあるけどうまい。三杯酢に漬け込んで箸休めにも。
 お蕎麦の薬味なんかにもすごくいい。ざるそばのつゆにおろしたワサビを摘んで落とす。ふつうのワサビだと蕎麦猪口の中で散ってしまうけど、この「まずま」は粘りがあるから散らない。拡がらない。つゆの中でふわふわ浮いてる。

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・・・前置きが長くなってしまいました。

 そんななワサビをおろす道具が前から欲しかったんです。
 普通は鮫皮のおろし。うん。いいですねー。鮫皮。わさび本来の粘り、旨味が出ますから。でもおろし金。こちらの方が香りが強く出るような気がします。それも普通のおろし金じゃ無くて銅の手打ちのおろし金。今まではアルミのおろし金で擦っていたのですが、粘りがあまい。
 手打ちのおろし金を使ってみれば分かります。ぜんぜん違うよ。美味しいよ。香りがいいよ。粘り出るよ。
お店の人のお話だと、機械で大量生産する場合目の向きや起き方が均一だけど、手打ちの場合は見た目は均一でも微妙な違いがあるそうでそこに差が出るそうな。

写真は薬味用の小さい物。銅製で片面使用。裏は御覧の通りです。

大きさはたばこの箱位。でも見た目より重い。質感がしっかりしていて手ごたえがあります。キレが悪くなったら打ち直しも出来るそうですが新しく買い替えた方が安いかも。でも、道具に愛着や手に馴染む感覚が芽生えれば打ち直しもアリです。

人の手って凄いですね。計測不能な位精密に物を作れるかと思えば、道具に揺らぎを与えてその道具からつくり出す物の特徴を最大限に引き出す技があるし。

お正月から大満足の買い物でした。★★★★★

あ・・・お店の名前忘れちゃった。ごめんなさい。


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