セーフガード --- 2001年3月13日

 つい最近、繊維業界でセーフガードの事が新聞等で話題になりました。
まだ、記憶に新しいので憶えてる方も多いと思います。
 木材業界も輸入品に押され、1997年にはついに用材供給量の80%をこえる量に達しました。そこで、去年くらいから「木材にセーフガードを!」という動きが活発になってきました。
 繊維業界は、製品。木材業界は素材。立場の違いはあれ、打撃を受けている事には代わりありません。

 私の考えでは木材にセーフガードは必要だと考えています。ただ、消費者は安くて良いものを求めています。それに答える企業努力を明確にしないままセーフガード発動に踏み切れば、国内産業を大切に思う消費者さえ国産品から離れてしまうんじゃないでしょうか。

 現状を見てみれば、かなり限界を超えて日本の林業家は努力をしていると思います。杉や桧の値段は15年前よりも安いし、品質の管理も非常によくなっています。自然環境の問題がからんでくるので、木材のセーフガードはただ単に価格の問題だけでは済まされないと思います。
 日本の森林面積は約2,500万haあります。そのうち人工林のは約1,000万haを占めています。しかし、その70%が35年生以下の若い森林でまだまだ間伐などの手入れを必要としています。木材の輸入量の増加は長年にわたる木材価格の低迷を招きました。その中で林業家や製材、問屋、小売り等の努力により持ちこたえて来ましたが、1960年では86.7%だった自給率は1997年には19.6%まで落ち込みました。今でさえ、林業家がかなりの件数で廃業しているのに、これ以上輸入量が増えると林業が決定的なダメージを受け、森林の手入れすら出来なくなり日本の山、森が荒れて、せっかくの森林資源を荒廃させてしまうんじゃないでしょうか。環境の面から見れば、自然災害の起きやすい地形と気性条件をもつ日本では災害を防ぐ森林の働きは極めて重要です。災害を防ぐ働きを十分に発揮出来ない荒廃森林の増加は自然災害や保水力の低下を招く事になると思います。

 転じて目を世界に向けてみると、やはり世界規模で森林が減少しています。

 その原因は、焼き畑、放牧など様々ですが、輸出する為に無秩序な森林伐採をしている国もあります。人件費等、コストが安いのに、植えなけりゃもっと安いですから。森林の減少は、木材の不足、洪水の発生などそれぞれの国に悪い影響を与えるだけで無く地球規模での気候変動、生物種の多様性の減少など環境問題につながります。とくに地球温暖化を防ぐ為にはCO2の排出を押さえる事も大切ですが、森林の炭素固定機能を高める事が有力な方法です。森林の減少は環境問題の解決を困難にしてしまいます。環境破壊を阻止するためにも森林資源を失う事なく、維持管理しながら永久に利用していく持続可能な森林経営を確立する事が世界各国に求められています。

 外国に木材を輸出するなとは言いませんが、循環資源である木を植えて環境に配慮した森林経営をして欲しいですね。

新木場 吉田商店


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材木は曲がる反るクサル。生き物だったから。
コピーペーストできない。同じ物がないから。
ダカラ ヲモシロイ。
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