都、民有林で間伐事業 ~多摩地域 森林保全へ直接管理~
--- 2002年1月20日

 

2002年1月1日付読売新聞江東版
こんな記事がありましたので掲載します。

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 森林を守るため、都は多摩地域の民有林の間伐事業に積極的に乗り出す事を決めた。森林所有者と契約を結んで都が直接管理しようというもので、都環境局では「全国で初めての試み」としている。

 同局自然環境部によると、多摩地域の森林(約五万三千ヘクタール)の大部分は民有林が占め、うち約三万千ヘクタールは杉や桧の人工林。多くは戦後に植林されたが、その後、林業離れが進み、放置された森林の荒廃が深刻化している。植林された林は間伐などの手入れが必要で、人の手が入らなければ、幹の細い木が密生して日光が届かず、土壌の保水力も低下するという。
 都は森林保全のため、林業事業者への間伐補助や、森を所有者や都民と共同所有する制度などを進めてきた。しかし、「地球温暖化など様々な意味で、森林の価値は高い。所有者まかせの保全策には限界がある」として、都が直接、間伐事業を進めることにした。
 対象となるのは、多摩地域の人工林のうち、水道水源林などの公有林と林道が整備された地域を除く約一万八千ヘクタール。来年度はまず千ヘクタールを目標に実施する。
 所有者と管理契約を結んだ上で、作業は地元六市町村(青梅、八王子、あきる野、日の出、奥多摩、檜原)に委託し、二百人以上の林業従事者が作業にあたる予定。間伐後は木の実から広葉樹が自生するため、同局では、「森林再生と共に、針葉樹の杉による花粉症対策にもつながるのではないか」と話している。

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以上が新聞に載っていた記事をそのまま掲載したものです。

では、何故、森林が荒廃したのでしょうか?

 今ではずいぶんと改善されましたが、確かに林業は3K(死語ですね。...汚い,危険,きついのKです。)と呼ばれた仕事でした。しかし景気が悪くなり、仕事を探すにも少なくなっている今、そんな事はたいした要因では無いはずです。死語になるくらいですから。問題は魅力ある仕事かどうかです。地球温暖化の問題や、治水、国土保全、エコ資源の事を考えれば非常に重要でやりがいのある仕事だとは思います。やはり一番の原因は経済、お金の問題だと思います。きちんとした労働力に見合う報酬が得られなければ、それは仕事として成り立ちません。確かに最初に述べた魅力のある・・・地球温暖化etc.の事で、ボランティアとしてがんばっている方々はいらっしゃいますがとても数的には足りません。一般の方々は材木は非常に高価な物と考えている様ですが、家を建てる時にかかる費用の材木代は建築費の総費用の中のわずか10%未満です。(一説によれば5%程度とも言われています。もちろん建築方法にもよります。)林業家は、苗木を買い、植えて、下草刈りや枝打ちなどを経て数十年育て、林道を整備してやっと伐採して市場等に出荷します。この時点での費用が売れる値段を上回っています。これでは利益などでる訳が無く、切れば切る程赤字が増えて行きます。ですから山の手入れなどできず放置されることになりますね。
 さて、冒頭の新聞記事には都の間伐事業の資金の出所の事が書かれていませんが、おそらく税金から拠出されるでしょう。と言う事ははからずも納税者が材木の価格を負担している事になります。安い外材との価格競争するより、補助に頼らず安心安全な国産材の価値を認め、それに見合う価格の形成を成し遂げなければいつまでたっても同じ事のくり返しになるでしょう。対症療法的な間伐事業ではあるが、やらないよりはマシ、って感じがします。でも根本的な解決にはなっていないのではないでしょうか。林業家自ら間伐や出材するような対策を取らなければ、ますます山は荒れていくと思います。

新木場 吉田商店


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材木は曲がる反るクサル。生き物だったから。
コピーペーストできない。同じ物がないから。
ダカラ ヲモシロイ。

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