狂牛病さわぎ --- 2001年10月6日
 

 とうとう日本でも狂牛病が出て大騒ぎになっています。感染する確率は果てしなくゼロに近いと言われていますが恐いものはコワイです。

 牛肉骨粉は鶏や豚の飼料用としていても、「牛に与えてはいけない」と言う事を知らなければ話にならないし、もしくは、「日本は安全」などという根拠のない神話やさらに危険を知っていても、「コストが安い」「他の餌より良く多食べる」なんかは、自分の金が稼げれば他人が迷惑してもかまわないなんてひどい話です。まじめに安全な食べ物を供給している生産者は目も当てられない被害を受けているでしょう。ホントに心中を察するに余りあることです。

 行政の対応もなんかいいかげんですね。国内の飼料メーカーの保護などで対応が遅れ、被害を受けるかもしれない消費者の方を向いていません。飼料の使用者がすべて危険意識を持っていれば間違いなど起こりうるはずが無い、などと言うのは甘い考えで最悪の事態を想定していないわけで。つい最近あった薬害の事など対岸の火事で、学習能力全くナシというより厚生省と農水省は違うという意識の上にあるのでしょう。ほぼひと月たって、やっと10月4日に牛肉骨粉の製造、販売は全面停止になり、5日に危険部位を使った加工食品の製造自粛と自主回収を都道府県を通じてメーカーに指導しました。

 これだけ対応が遅れしかもあやふやだと行政の言っている事は信用出来なくなります。牛肉の安全と言われている部位は本当に安全なのでしょうか?危険部位を取り除く際に汚染されたプリオンの飛散は防げるのでしょうか?また、豚や鶏は牛肉骨粉を飼料に与えられていますが、それら家畜の発病はまったくないのでしょうか?発病する前に人が食べちゃえばわかりませんよね。信用がなくなるというのは本当に恐いですね。

 先日発行された英科学誌ネイチャーは、日本で初めて確認された狂牛病について、水俣病や薬害エイズと同様日本政府の政策的怠慢が発生を防げなかった原因とする論説を発表しました。世界的に評価の高い科学誌の異例な批評は研究者だけでなく行政関係者の間にも波紋を広げそうです。論説は、狂牛病の病原体が人に感染して起きる変異型クロイツフェルト・ヤコブ病の患者発生に懸念が高まっていると現状を分析。しかし、政府が適切な対応を実施すると言う信頼感は国民の間にはほとんどないと断言しました。水俣病や薬害エイズ、薬害ヤコブ病では、政府と関係業界の癒着が適切な対応を遅らせ、多くの一般人の犠牲者を出したと指摘し、狂牛病問題でも感染源と疑われる肉骨粉飼料の規制を拘束力のない行政指導にとどめていた事を問題視しています。その上で日本政府はEUによる狂牛病リスク評価など外部の公平な意見を積極的に取り入れるベきだと提言しました。こうした姿勢を取って初めて長い間にわたって続いてきた致命的な政策ミスの連鎖を断つ事が可能になると結んでいます。

 ごくごく僅かな一部の生産者や行政の怠慢がこのような事態になってしまって、まじめに良い牛を育て誇りを持って供給している生産者が、そのあおりを受けて苦しんでいるのは非常に残念なことです。

新木場 吉田商店


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コピーペーストできない。同じ物がないから。
ダカラ ヲモシロイ。

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