まな板のこだわり --- 2001年6月17日


 まな板。漢字で書くと俎。もしくは俎板です。語源は『真魚板』から来ていると言われています。生臭い魚などを調理する台として用いられた様です。

 木のまな板は包丁の歯あたりが柔らかくて良く馴染み、プラスチックと比べて魚や肉が滑らないのが特徴です。プラスチックは衛生的といわれますが、汚れたまな板で料理を作っても美味しい物はできませんから、木でもプラスチックでもきちんと洗って手入れをするのは同じではないでしょうか.。

 樹種は、木曽桧をはじめ、米桧、銀杏、柳、もっともポピュラーなのが北米材のスプルースです。よくテレビのお料理番組で使われている木のまな板は80%以上スプルースです。スプルースは一部で通称アラスカ桧と呼ばれている様ですが桧ではありません。日本の木で言うと「唐桧(とうひ)」.....アレ?桧って字がつきますね・・・んんん。色が白くて桧に似た感じの柔らかい質感のある木です。香はほとんどありません。桧の代用品として、よく家の造作材や建具材にも使われている良材です。

 まな板の木目は柾目がいいでしょう。と言うのも柾だと冬目と夏目(木目の細いのが冬目、広いのが夏目)が細かく交互に並んでいるので、まな板の減りが少ないからです。板目だと、どうしても柔らかい夏目の面積が大きく減ってしまいます。また、板の性質上、木の表側(木表)と裏側(木裏)の収縮の関係で反りが生じます。柾目の場合は木表、木裏がありませんので反りに関しては板目より安定しています。(厳密に云えば本柾以外は木表木裏はあります。また水に濡らした後、乾く過程で、片側だけ乾燥すればもちろんそちら側に引っ張られ反ります。)とは言うものの、現状では木曽の桧は、巾の広い柾目が取れなくなっているので板目が主流です。

 さて、なんの気なしに使っているまな板ですが、お寿司やさんの仕事をカウンター越しに見ると使用法と云うか必ず同じ動作を繰り返します。整理整頓はもちろんですが使う前にまず水で濡らし、かたくしぼったふきんでふいてから使うようにします。まな板に水分を含ませるのは切る素材の水気がしみ込んだりするのを抑え、においをつきにくくするためです。ただし濡れたままでは素材の味が落ちてしまうので余分な水はふきんでふき取ります。素材を一つ切り終えるごとに拭き取ります。また、まな板がすべったり動いたりするようなときには、濡らしたふきんなどをまな板の下に敷くと安定して使いやすくなります。

★★★

 お手入れの方法ですが使い終わった後は食器を洗うのと同じで必ず洗剤で洗って下さい。そのあとに殺菌を兼ねて熱湯で流します。お湯で流すのは一番最後です。最初に流すとまな板に残っている魚や肉のタンパク質がお湯によって固まってしまいにおいが残ってしまうからです。お湯を切ってから日の当る場所に干せば終りです。たまに漂白剤で消毒すると完璧でしょう。洗い桶にお使いの漂白剤を入れ、それの説明書きをよく読んで薄めて2時間くらい沈めます。洗い桶からはみ出た部分はふきんを掛けて漂白剤がふきんを伝うようにします。終わったらすすいで干しておわりです。

★★★

 木のまな板の反りと割れについて:日光に当てて干して消毒する事は必要です。しかし木の特徴で片側だけに日を当てるとそちら側の乾燥が早く裏側に比べて収縮します。(特に夏の暑い時期など)。この収縮によって反りや干割れ、また、包丁のキズが収縮によって広がり、割れが起こる場合があります。反りの直し方は単純に凹面を裏側にして凸面を日にあてます。この時凹面に濡れ布巾をあてて木に水分を与えます。日本料理屋さんでは、わざと反らしたままにしたり、まな板を蒲鉾型に削って包丁の当たりを良くしたりする事があります。

新木場 吉田商店


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材木は曲がる反るクサル。生き物だったから。
コピーペーストできない。同じ物がないから。
ダカラ ヲモシロイ。

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