●丸太と筏 --- 2002年10月19日
::なぜ丸太は筏に組んで水に浮かべるのでしょうか?::
大昔から木は山で切り出され、筏に組んで、川を下って消費地に運ばれて来ました。他に運搬手段が無かったからですが陸上交通が整備されトラック輸送が当たり前の現在、東京や名古屋大阪他各地でいまだに掘や海上に筏を組んで浮かべています。なぜでしょう?
●丸太の場合、水面の方が人の手で簡単に動かせると言う事があります。 棹鈎(サオカギ)(竹棹のさきっぽにとびぐちがついてるもの)1本で簡単に動かせるし、丸太の選別や筏組みが比較的容易に出来るからです。 陸上だと膨大な量の丸太を1本1本並べてたらかなり広い土地が必要で、ちょっと動かすのにフォークリフトなど使わなくてはなりません。水面だと堀を管理する自治体に支払う使用料が安い事と広い面積が使えます。
●材木の"あく抜き"です。 木曽桧に限らずどんな材木でも余分な「あく」は抜いてしまった方が削った時にいい艶がでます。これはお料理する時とおなじ感覚と思っていただければよいと思います。残念ながら今はそこまで手間をかけるとコストにあわず、「あく抜き」と言う理由で水に浮かべてはいません。(私のお店だけではなく、日本中で。。。)私の祖父の時代は、木曽桧の丸太をいげたに組んで重しをして水に沈めたそうです。私の店では、米桧に関しては約半年以上水に浮かべてはいますが。(売れないだけとも言いますけど(苦笑)) 余談ですがアク抜きが絶対に必要な材木があります。桐。この木は板に製材して長い時間をかけて雨に打たせ、(雨の少ない時期はわざわざ水をかけて)アクを抜きます。きちんとアクの抜けた板は、表面は灰汁で真っ黒ですが、削ると美しい白い色になります。桐の場合きちんとアクを抜かないと、あとからアクが出てきて大変な事になります。
●水に浮かべる事によって、丸太の素性がある程度わかります。 浮きのよい丸太は、固い部分が少なく、素直。また、丸太の曲がり等も、浮きかげんでわかります。私の様に出来の悪いヘソ曲がりは、沈みがちで、丸太も回しづらいです。丸太の見立ての参考にもなります。
●通常、水の中に材木を入れると腐ってしまうような気がしますが・・・ 「腐る」というのは、細菌によって木が食べられてしまう事です。空気の少ない水中(海水)であれば、1年位は、もしくは数年腐らずにもちます。痛みが激しいのは水中と水上の境目、常に濡れたり、乾いたりする所は腐りがきます。また、水上の部分も乾いて、干割れがきて、そこに水が入れば、痛んできます。
理想は、完全に水没させて、あくを抜いた丸太が良いですね。
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