耐震実験での倒壊 --- 2009年10月31日

 

引用--------
日本経済新聞 2009年10月28日 朝刊

3階建て木造住宅耐震実験
長期優良住宅でも倒壊
防災研 震度6強に耐えず?

 防災科学技術研究所などは27日、大型震動台「E-ディフェンス」を使って木造3階建て住宅を揺らし、耐震性を試す実験を実施した。その結果、震度6強で、揺れに耐えると考えられた「長期優良住宅」の基準を満たす住宅が倒壊。実験を指揮した東京都市大学の大橋好光教授は「基準に問題はない」としているが、3階建て住宅の増加もあり、同研究所は設計上の課題などを探る。

 実験では同じ設計の木造3階建て住宅2棟を使用。1棟は「耐震等級2」を満たす長期優良住宅。もう1棟は柱の接合部のみを弱くしてあり、同等級を満たさない。
 2棟を並べて耐震基準の1.8倍、震度6強相当の人工地震波で約20秒間揺らした。実験した住宅はともに耐震基準の1.44倍に耐える設計だが、実際には余裕を持たせて建築しているため揺れを上乗せした。その結果、長期優良住宅は揺れが終わる間際に壁が崩れ横転するように倒れた。計画では、ぎりぎり倒れないはずだった。もう一方は揺れ始めて約10秒後に柱の接合部が壊れたが、完全には倒壊しなかった。
 実験は耐震等級2を満たさない住宅のみの倒壊を想定していた。ただ、柱の接合部を弱めた住宅は振動のエネルギーが抜け損傷が軽くなったとの見方もあるという。
 大橋教授によると、「住宅に付けたセンサーからは耐震等級2を満たす住宅の方が1〜2割高い揺れの力に耐えられる計測結果が出ている」という。
 長期優良住宅は今年施行の長期優良住宅普及促進法で定めた。耐震等級2〜3の住宅が対象で、耐震等級1は建築基準法と同じ強さ、同2は1.25倍、同3は1.5倍に耐えられる強さ。

--------引用終わり

新木場 吉田商店


のうがき--NEXT ©
のうがき
材木は曲がる反るクサル。生き物だったから。
コピーペーストできない。同じ物がないから。
ダカラ ヲモシロイ。

 長期優良住宅でも3階建ては震度6強相当には耐えられない設計と云う事なのですね・・・

 さて10月30日現在、防災科学技術研究所ではまだデータを公開していないようなので詳細はわかりませんが、上記引用から『長期優良住宅は揺れが終わる間際に壁が崩れ横転するように倒れた』とあります。
 あくまで推測ですが、躯体が頑丈に金物等で補強されているため構造物の中の弱い処にひずみが起こり、さらに壊れ始めると他が頑丈に出来ているが為、ひずみが起こった所に力が一点集中し崩壊したと考えられます。建築物全体がバラバラに崩れたというのではなく、『横転』という状態から想像するに、崩壊した部分以外は問題が少なく、崩壊した部分にかなりの力が集中したのではないでしょうか。
 次に『もう1棟は柱の接合部のみを弱くしてあり同等級を満たさない』建物は、どの様に接合部のみを弱くしてあるのかわかりませんが、『揺れ始めて約10秒後に柱の接合部が壊れたが、完全には倒壊しなかった。』 引用中にもありますが、『柱の接合部を弱めた住宅は振動のエネルギーが抜け損傷が軽くなったとの見方もあるという。』から、やはり接合部の「あそび」によって数十以上ある構造材の各々接合部がそれぞれ力を逃がしたと考えてよいのでしょうか?

 プレカットで構造材を刻み、金物で補強を施し、構造用合板で壁を作るやり方では力の逃げる場所が少なくなり、1点が壊れ始めるとそこに集中してしまうようです。もう最近ではまったく無くなってしまった、旧来の貫や胴縁、筋交いを使用した建築方法(昭和後期以前の在来工法)の方が各部材が壊れても力を逃がし、全体が壊れるのを防ぐやり方なのでしょう。


 腑に落ちない点がひとつあります。大昔でも柱や梁を刻むのはコンピュータか手仕事の違いで同じですが、補強金物は昔でも作ろうと思えば鉄などで出来たはずです。構造用合板の代わりとして、板壁も同様に制作出来たはずなのにその様な方法を取らなかった理由はなぜなのでしょうか。


のうがき--BACK 
のうがき。。。もくじ 
HOME 
のうがき--NEXT