●TPPで林業と同じ轍を踏むのか? --- 2011年11月9日
今政治外交の課題としてTPPがかまびすしく取りざたされています。
木材を取り扱っている業者ならご存知の通り、輸入木材(丸太)の関税は1960年代に無税になってから国内林業は衰退の一途をたどり現在の惨たんたる状況は企業努力うんぬんを語る前に壊滅状況になっているのは周知の事実です。 もはや林業家どころか国自体でも国有林野事業を立て直すことは難しく、少し前に林野庁が行った緑のオーナー制度なるものも伐期になった杉や桧の相場が落ち込み投資した個人の元本を回収することさえできず詐欺的状況になってしまいました。 国営事業としてさえ成り立たず、それどころか里山の環境を保つ事さえ難しくなり一部ではNPOやボランティアの手を借りて「山を守る」「川を守る」「海を守る」の名目で国土を保全している状況です。 日本では山が急で植えてから伐採するのに他の国よりコストがかかるのは仕方がないかもしれません。植えてから伐採するのに最低でも30年以上かかりその間のリスクを回避しコストダウンを計っても結果が出るのは30年、50年先になってしまい、植えてから1年から数年で結果が出る農業と同じに語るのは無理がありますが、1960年代に関税がゼロになってから約50年が経ちそのころ植えた桧が伐期になってこの有様だと目をおおいたくなります。 (ちなみに石油ショックの頃(昭和48年1月(1973年))の桧の土台角4000mm×105mm×105mmが¥5,292:12万/m3(東京木材問屋協同組合資料)・・・今の方が安い)
日本の農業にはブランド力があるかもしれません。 それは林業でも同じでした。 圧倒的な力は価格競争力です。ブランド力ではありません。 消費の中心にあるのは一部のブランドを消費するのではなく日々の生活の中の価格の力です。関税がなくなり加えて円が強い現状ではなす術はなくなるでしょう。
非関税障壁とよばれる保護政策すら撤廃対象であるなら金のばらまきすらできなくなるはずで(財源も無いでしょうし増税で賄うつもりでしょうが。)無駄を省く事によって高速道路無料化や高校無償化、米軍基地の移転を言う口先だけの政治家主導マニフェストで現在を検証出来ず混乱を招くのでは未来への国づくりは無理でしょう。
食料の安全保障の観点から最小限の自給は保てるかもしれませんが、状況は林業と変わらないとおもいます。
ではなぜ日本の農業水産業を壊滅させてまでもTPPに参加を検討するのでしょうか?
メリットの一つとして労働力は農業人口から工業労働者へ移動が起こり生産性があがるといわれてます。
けど・・・
民間資本では低コストへ資本は移動して工場の海外移転が進み、国内では現状を維持出来れば良い方で工場もなくなるのではないでしょうか?新木場地区の製材工場が良い例です。新木場に補助金が貰えますか?
失業率の上昇圧力 デフレ圧力の増大 輸出促進によってごく僅かにGDPの押し上げがあるといわれていますが失業率とデフレにバイアスがかかり勝ち組だけに富が集中して貧富の差が増大しそうな予感がします。
TPP導入により既存の既得権益を無くし一度リセットするならメリットがあるかもしれません。それによって民間だけでなく行政、政治の高コスト体質が改善されれば良いのですが他にメリットが見つかりません。
誰かメリットを教えて下さい。
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